久留米大学循環器病研究所の新着情報

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循研ピアレビュー2016の舞台裏(2016年7月20日)

前回の『雑感』では、7年間の循研ピアレビューの歴史を振り返ってみました。

そして今年もH.28年6月15日から7月6日にかけて全3回の循研ピアレビュー2016が開催されました。今年は昨年までに作り上げた基本形を踏襲しつつ、2つの新しい仕掛けを導入しました。1つは実施上、もう1つは運営上の仕掛けです。

循研ピアレビュー2016.005

【実施上の仕掛け】

実施上の変更は3日目の「まとめ」です。これまでは各班から1日目の「問題点」、2日目の「強みと売り」を順次報告してまとめていました。今回は各班から「売り」を提示し、統一することから始めました。これには2つの意図があります。

一つは全員の意思統一です。「売り」とは研究プロジェクトが目指す方向です。目指す方向がそろっていなければディスカッションが噛み合わないので、全員で統一しておくことが大事です。今年は特に班ごとに「売り」の捉え方が違っていたので、その統一から始めました。

もう一つは、プロジェクトで解くべき問題の構造を明らかにすることです。1日目、2日目で問題点と強みがたくさん出ますが、全てが同じように大事というわけではありません。「問題点」はプロジェクトの方向を邪魔するから問題なのであり、もし邪魔にならなければ放っておいても良いかもしれません。「強み」も、プロジェクトの方向を強化するように使えるからこそ強みと言えるでしょう。「売り」を明らかにすることで、問題点と強みの優先順位付けができるようにしました。

 

【運営上の仕掛け】

昨年から完全に若手による運営に移行したことで、幾つかの反省点が出ました。中でも、循研ピアレビューを何回か経験したメンバーに発言が偏ることが問題視されました。研究経験が浅いメンバーも含めて多様な視点からの意見が出てこそ、ピアレビューの意味があるからです。

今年は開催に先立ち研究室4年以上のメンバーが集まり、発言しやすく建設的なディスカッションができるよう様々な工夫を凝らしました。班分けの仕方、司会や書記など役割分担はもちろん、ホワイトボードやテーブルの配置、座る場所にまで気が配られました。まず「売り」を統一しようというアイディアも、この工夫の中から生まれました。

 

【実施】

こうして様々な努力や工夫を織り込んでピアレビューが実施され、毎回3時間近くにおよぶディスカッションが行われました。今年のテーマは肺高血圧の基礎病態研究でしたが、参加者は基礎病態研究をしているメンバーに限らず、疫学研究や臨床研究をしているメンバー、さらに産学官連携推進室の方々にもご参加いただきました。

多様な視点からのディスカッションで手探りをしながら少しずつ前進し、最初はバラバラだったみんなの意見が次第にまとまり、最後にはパワフルな申請書への指針が得られました。ピアレビューの運営や実施を通じてメンバー1人1人が成長し、循研全体もまた少し成長したと思います。これを足場にして、これからも成長を続ける組織でありたいと循研では考えています。