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新しい循研ピアレビュー(2018年7月26日)
循研ピアレビューは参加者の工夫により年々進化を重ねています。その成果は著しく、循研の今年度の科研採択率は57%と過去最高でした。採択率の向上は循研メンバーが問題発見・解決力を身につけてきたことを反映しています。長期的にはその問題発見・解決力こそが重要であると循研では考えています。
第10回となる今回は「理解の構造」によるフレームワークを全面的に取り入れます。フレームワーク思考法は問題への取り組みを、「整理」と「本質を考えること」に分け、整理の方法(フレームワーク)を揃える考え方です(前回の記事参照)。問題の整理方法を揃えることにはいくつかのメリットがあります。まず、いつも同じ方法を使うことで、整理が上手くなります。すると、より早く論理的に整理できるようになり悩むことが少なくなるため、問題の本質を考える余裕が生まれます。仲間と同じ整理方法を使うことでコミュニケーションが円滑になり、協力もしやすくなります。
今回使うフレームワーク「理解の構造」は、「人間の理解とは知識のネットワークである」という考えに基づいています。
疾病を含めて自然界の事実は、人間が理解できてもできなくても変わりません。疾病を理解できないのは、疾病で起こる事実がわからなかったり解釈できなかったりするため、解釈同士をつなげて知識ネットワークを作れないからであると考えます。事実を発見して解釈し、既にある知識とつなげることで疾病が理解できるようになります。
「理解の構造」では事実発見から理解に至るまでを次の4段階に分けます。
事実:人間の理解に関わらず変わらないもの
解釈:事実と直結した概念
解決:解釈同士が連結したもの
理解:新知識と従来の知識がネットワークになったもの
今回は申請書を「理解の構造」で整理し、その売り、強み、弱みを明らかにしていきます。この方法は、従来の循研ピアレビューの手順(1. 問題点の洗い出し、2. 強みの抽出、3. 売りの絞り込み、4. 全体像の構築)を逆転した形です。双方向性の考え方をすることで、より問題の本質に近づくことを目指します。
「理解の構造」は、論文の構造そのものでもあります。循研ピアレビューに「理解の構造」を取り入れて、研究の最初からそれ意識することで計画、実施、論文作成を一元的に捉えることが可能になり、研究の全体像がより把握しやすくなります。また研究中に何回も理解の構造をブラッシュアップすることにより、問題発見・解決力が飛躍的に向上すると期待されます。