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理想のボス(2016年10月7日)

sl%e7%90%86%e8%ab%96皆さんは「良いボス」に出会ったことがありますか?「悪いボス」で苦労したことはありますか?

マス・メディアには「理想のボスは俳優やスポーツ選手の誰それ」という記事が定期的に掲載されます。それだけボスとの出会いは我々の職業や人生で重要だからでしょう。

ところで、そもそも「理想のボス」っているんでしょうか。

今回は、「Situational Leadership 理論」について簡単にご紹介します。 ボスの良し悪しに関する考え方の一つで、Paul Herseyと Ken Blanchardにより提唱されたものです。

Situational Leadership理論では、リーダーの行動を、命令の強さと支援の強さで4つに分類します(図1)。日本語の分類名は私がつけたものです。

Directing(命令型):部下に明確な命令を下す
Coaching(コーチ型):命令だけでなく、気持ちや社会関係での支援もする
Supporting(支援型):支援はするが、あまり命令しない
Delegating(見守り型):部下の自主性に任せ、ボスは最終責任を取る

フォロワー(部下)も、能力の高さとコミットメントの強さで4つに分類し、成長段階に概ね対応させます(図2)。日本語の各段階名は私がつけたものです。

D1(新人期):やる気にあふれているが、仕事の力は低い
D2(中だるみ期):仕事の力はついてきたが、方向を見失いがち
D3(手応え期):力がつき方向も見えてきたが、独り立ちする自信はない
D4(自立期):十分な力を身につけ、やりたいこともはっきりしている

 

Situational Leadership理論では、部下の成長にマッチしたボスの行動が重要だと考えます(図3)。新人期にはやる気はあるものの何をどうしたら良いかわからないので、ボスは明確な命令を下すべきとします。中だるみ期には方向性を見失っているので、命令しつつも部下が自分で方向性を見つける手助けをします。手応え期にはそれなりの仕事能力やコミットメントを持っていますが、まだ自信がないのでボスは支援してあげる必要があります。そして部下が十分な力をつけて自立した時には、ボスは見守るだけにしますが、最終責任は自分で取る覚悟は必要です。その後、部下は独立していきます。

この理論では、「良いボス」や「悪いボス」がいるのではなく、リーダーとフォロワーのマッチングが重要だと説いています。例えば見守り型は自立期の部下には良いボスですが、新人には自分を放置する悪いボスだと感じられるでしょう。その他のミスマッチも考えてみると面白いかもしれません。

HerseyとBlanchardの本は日本語訳も出ているようなので、興味を持った方は調べてみてください。

もし良いボスに出会ったら神様に感謝し、悪いボスに出会ってしまったらミスマッチだと考えましょう。そして皆さんが指導する立場になった時には、相手の成長段階を考えると良さそうに思います。

あなたの最悪なボスは誰かの理想(かも)。