循研での研究

研究生活

循研での研究活動は、課題発見・解決力を身につけ、病気の成り立ちを解き明かすという2つの大きな目標を達成するためにデザインされています。

循研メンバーは数人の研究チームに分かれており、それぞれチーフのもとで一定の研究テーマに沿って自分だけの研究課題に取り組みます。研究課題は自分だけのものなので、研究が進めばそれは自分自身が考え行動した成果であると自信を持って言えます。循研メンバーにとって自分だけの課題に何年もかけて取り組むことは、おそらく人生で初めての経験でしょうし、多くの人にとって一度限りの経験になるでしょう。研究からは他と比べようもない経験が得られ、研究をする前と後では物の見方や考え方が大きく変わります。人によっては人生の転機と言えるほどの影響を受けることもあります。

こう言われると、何だかとても壮大なことに取り組むように聞こえます。実際そうなのですが、日々の研究は地道な作業の積み重ねです。自分が動かなければ何も起こらないので、何とかしなければと焦りを感じることもある反面、スケジュールを自分で決めることが出来、考える時間を充分に取れます。まとまった時間が作れるので、循研で過ごす期間に、これまでの自分を振り返り、これからの人生設計を考える人も多いようです。

研究生活はあまり変化がない日々ですが、時に大きな変化が訪れます。何日も(時には何ヶ月も)かけて周到に準備した実験の結果が出るときです。思った通りの結果が出たとき、あるいは思いがけない結果が出た時は、研究生活のクライマックスの1つです。そのような結果は、世界中で自分以外には誰も知らない発見です。もしかすると、病態解明の大きな一歩になるかもしれません。高鳴る胸と逸る気持ちを抑え、何度も実験方法や結果を見直し間違いがないかを確認します。その結果が示す意味を繰り返し考えます。結果に確信が持てるようになり、その意味もはっきりしてくると、誰かに話したくてたまらなくなります。予想(研究では「仮説」と言います)どおりの結果がでない場合でも、大きな意味があります。仮説は複数ある可能性の1つであり、予想通りの結果でなければ別の可能性(仮説)を検討すれば良いことがわかるからです。